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  1934年
神奈川県横浜市に生まれる
  1953年
18歳/高校卒業後、三菱重工業に就職
  1957年
22歳/縁談の話が持ち上がり退職するも、結婚にはいたらずすぐに東洋電業に再就職
  1960年
26歳/結婚を機に退社。しかし約6か月で離婚
  1966年
31歳/スイスに留学
  1967年
33歳/イギリスに渡る
  1969年
35歳/帰国。外資系会社に就職
1971年
36歳/退職。シドニーへ渡り、市場調査会社に就職
  1973年
38歳/シドニーから帰国。数か月後にテンプスタッフ設立
  1998年
63歳/9万人名簿流出事件が起こる
  2000年
65歳/本格的な分社化がスタート。現在グループ34社までに成長
  2001年 66歳/米『フォーチュン』の「世界最強女性経営者」に。以降4年連続で選ばれている
1950年代、OL生活をしていたころの篠原さん。このスタイルとポーズは、今の私たちが見ても、とってもオシャレ。
オーストラリアで働いていたころ。コートの丈がすでにこんなに短いということは、中のスカートはさらに短いはず。ツィギーのミニスカートが流行ったころだった。
電話と机だけで始めたオフィス。決して充分な準備があったわけではないけれど、いつも笑顔は忘れなかった。篠原さん43歳のころ。
社長室はなく、社員と同じフロアーにデスクを置く。「私に会うのにアポ入れ? そんなのイヤよ」という篠原さん。誰でも直接、社長に話しかけることができる。
名前入りの篠原さんの手帳は、まるで百科事典のよう。現場を大切にする篠原さんは、今も自ら営業に出かけることがあるとか。
米『フォーチュン』の「世界最強女性経営者50人」に4年連続で選ばれた、テンプスタッフ社長・篠原欣子さん。36歳、単身でオーストラリアに渡って人材派遣業というビジネスを知った彼女が、起業したのは38歳。 今や年商2000億円の巨大グループのTOPに立つ篠原さんは、何を思い、どうやって今を築いてきたのでしょうか。私たちへのメッセージもうかがいました。
グループ34社の頂点に立つ篠原さん、社員は、口々に、「社長はめったなことで怒らない。でも、目標の数値や責任を持つ立場の者には厳しい」と言います。また「小さいことでもよくほめる」という評判も。ガミガミと叱らなくても部下がついてくるのは、どうしてなんでしょう?
 みんなは、「あまり怒らないけど、怒るとこわいよ」って言っているようですが、自分ではとくに意識していません。人間、誰でもいいところ…、人より優れたところを持っています。私には、もしかしたら、その人のしていること、言っていることのほうが正しいかもしれないという気持ちがあるんですね。だから私は、「なるほど、そういうこともあるんだ」とか、「そういう考え方もあるんだ。それっていいな」と思うことが、よくありますね。怒るときというのは、「この人を育てなきゃ」、「よくやってほしい」と思っているとき。こういうの、母性愛かもしれないですね。
  ほめるというのも、意識してやっているわけではないですね。「あ、すごいな。私にはできないな」と、素直に思ってるんです(笑)。ただ、マネージャークラスの人には、「部下のいいところを見つけて、そこを伸ばしてあげるのが、あなたの役割」と言っています。
順調に成長してきたテンプスタッフは、創業25年目の1998年に、9万人の名簿流出事件を起こしてしまいました。サーバー管理を委託した外部作業員がデータを持ち出すという不幸なもの。被害を最小限に食い止めるために夜を徹して対応しましたが、会社存亡の危機に。どうやって立て直したのでしょうか?
 社員が、夜中の3時や4時まで電話待機してくれて、必死に対応してくれたおかげで乗り切れました。私自身には、働いてくださるスタッフさんや社員への責任がありますから、倒産させることなどできないという思いがありましたね。絶対に逃げられないと思いました。「ここを乗り切らなきゃ」という想いが強かった。
  それにね、ピンチは、次の糧になるの。ピンチを乗り越えたときに、強さが備わるんです。今思うと、あの事件で社員が結束したし、「自分がやらなきゃ!」という気持ち、愛社精神も強くなったと思いますね。
  ピンチも何もなくて完璧に生きている人など、いないですよ。私は、何かピンチがあったら、「あ、これは神様が与えてくれた試練だ」と、いつも思うんです。最初は小さい問題でも、どうしたらいいかわからないですよね。でも、ひとつひとつ逃げずに乗り越えていけば、次にもう少し大きい壁が出てきても乗り越えられる。逃げないことが大切なんです。
離婚をきっかけに、海の向こうへ旅立った篠原さん。そこで出会ったのが「人材派遣」というビジネスでした。離婚がきっかけになったのでしょうか?
 離婚やらなにやらで落ち込んで、でも、「あぁ、なんかやらなきゃ!」と思いました。それで英会話を習ったら、「もっと勉強したい」という気持ちになり、海外に行く機会を探して、ついにスイスとイギリスへ行けたんです。向こうでは本当に貧乏生活(笑)。4年ぐらい勉強して一度帰国し、「まだ足りない」と思ってオーストラリアへ向かいました。そこで市場調査会社で秘書として働いて、人材派遣業というものがあるのを知ったんです。日本に帰って人材派遣業を興そうと決めていたワケではないんですよ。ただなんとなく「いいかなぁ」と思って。
  オーストラリアは、女性が生き生き働いていて、私自身、とても楽しかった。でも、日本で就職したら、つまんないだろうなって。それで就職するのではなく、「ちょこっと自分で始めてみようかな、ダメだったら誰かいい人見つけて、結婚すればいいや」と思ってたんです! 
  100万円の資金で始めたんですけど、お金なんてすぐなくなってしまいますよね。でも一度始めると、
やめるのはむずかしいんです。だって、お得意さんやスタッフさんに「ごめんなさい。私、この会社やめます」って言わなきゃいけないでしょ。でも心の底ではずっと、「いつかやめよう、いつかやめよう」と思っていましたよ。「こんなしんどいこと、どうして始めちゃったんだろう」って。でもね、やっていると、人が喜んでくれるんです。「篠原さん、この前来てくれた人、よかったわよ」と言われると、なんかやっぱり嬉しくなりますよね。そんな言葉に、背中を押されるように続けてきましたね。
篠原さんご自身は、海外に出る前に、わずか半年で離婚。そんな篠原さんにとって、「女の幸せ」とは何でしょうか?
 わが人生に悔いは全然ないけど、子どもがいなかったのは…。作っておけばよかったかなと、今、思います。それって穴埋めできないじゃないですか。今の時代、結婚して、子育てして、仕事して、両立できますよね。どっちかを選ぶ必要があるとしても、その人、その人の環境で結論は違うでしょう。
  人間、自分にないものを欲するでしょう。だから、もし私が仕事をしてなくて、家庭の主婦で、子育てに専念してたら、「仕事したいな」ってすごく思うだろうと思います。隣の芝生は青く見えますからね。何もかも、自分の手中に収めようっていうのは無理ですよね。
さまざまな経験を経て、38歳で起業し、世界最強女性経営者にも選ばれた篠原さん。その姿を見ているだけでも勇気づけられますが、でも、やっぱり篠原さんは特別なのかな、とも思います。今の時代、30歳ぐらいまで働いているとマンネリや疲れを感じて、「もう私、ダメかな」と思う人も多いようです。そんなFAnet世代の私たちでも、篠原さんのように生きていくことができるんでしょうか?
 あったり前じゃない(笑)! やーだ、もう! 30歳前後なんて、これからじゃない(笑)。いろいろ迷っているかもしれないけど、人生これからじゃないですか! いろんな経験をして人間的にも成長してきて、自分の能力を最大限に生かすことができるようになる。これからようやく「Going My Way」で行けるのよ。失敗しても、またトライすればいいの。すごくいい年代だと思いますよ。
  私は、「38歳で遅いな」と思ったこともないし、「え、もう38歳?」と思ったこともない。誰かに「38歳で会社を始めるなんてすごいわね」と言われたときは、「え、何が?」って言いましたもの。
  「隣の芝生は青いけど、置かれた環境で一生懸命やれば、必ず明日が見えてくる」と、私はいつも思うんです。今やっている仕事から得たものが蓄積していく。そうすると、それは必ず次に生かされます。絶対にそうですよ。たとえば
コピーの仕事ひとつでも、「どうしたら見やすくなるか」とか、「どういうふうにしたら、相手に喜んでもらえるか」とか考えてやってみるでしょ。その経験が、また別の環境でも生かされると思うんです。始めるのが遅いということはありません。人間、何かやっていれば、それが自分の中に蓄積されていくんです。
【編集後記】
職歴が長くなりスタッフをまとめる仕事が増えると、悩むことも多くなって…と感じているのは私だけではないでしょう。そんなとき、篠原さんに「誰だって行き詰りますよ。行き詰らなかったら、進歩がないじゃないですか」と言われると、なんだか元気が出てきます! 「女社長」という堅い雰囲気はゼロで、ケラケラと楽しそうに笑われる篠原さんの魅力に、「だからこれだけのことができるんだ」と納得させられたインタビューでした。(text;Shiho DOHI)
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