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LoveLaboratoryFAnetOnline Novels
Pre Winter Special 2006.11.30
幸せカップルの落とし穴
--26歳、香織の場合--

Novelization/笹倉 紫 Illustration/福田さかえ

FAnetオンラインノベルは、読者から送られた体験談をもとに書き起こした小説です。
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なんの障害もない幸せいっぱいのカップルのはずだったのに、突然見知らぬ女性から「別れてください」の電話。何かの間違いと無視を決め込んだのに、早く結婚したいが口ぐせだった剛史が少しずつ変わってきた。さすがの私も、これは何かある、と、剛史の親友に相談をしたら…。


きっかけは、勤め先に突然かかってきた、知らない女のコからの電話でした。
「塩野香織さんですよね。私、剛史とつきあってるサキコって言いますけど、剛史はもうあなたのこと好きじゃないので、つきあわないでください!」
もう唐突で、一瞬、何の話かわからなくて返事もできませんでした。そうしたら、立て続けに、「わかった? いいですね。もう剛史は私のものなんです。だから、すぐに別れてください」と、わめくように言って、電話は切れてしまいました。
いったい何? 受話器を置いてから、ようやく相手の言ったことが頭に入ってきました。つまり、私の彼氏の剛史に、私以外の女性がいる。その女性が、私に、剛史と別れなさいよって電話してきた。
でも、まさかって思った。そのときの私には、とても信じられないことだった。
だって、私と剛史とは特別な関係。単なる恋人同士なんかじゃないんです。
剛史とは同い年で、つきあいはじめたのは大学2年のときだけど、もともとが中学の同級生。家も近所で、親同士も知り合い。つまり、幼なじみが大学生になったとき、互いに異性を感じて恋人同士になったわけ。だから両方の親公認で、周囲の誰もがゆくゆくは結婚すると思っていたし、私も剛史もそう信じていた。それに、ふたりとも内気なほうだったから、ちょっと冒険、なんてことも全然ないカップルだったんです。
実は、剛史と私は、互いに初めて同士。はたちのときに、こうするのかな? ああするのかな? これでいい? なんて、見よう見まねで初めてのセックスをした仲。もちろん、それ以降も、ほかの男性となんて一切なし。剛史だって、もちろん私だけ…。
男の人がそんなはずないなんて言う人もいましたけど、剛史のこと知っていれば納得するはず。私からモテないタイプだなんて言いたくないし、見た目だって悪くないけど、自分から女の子を誘うなんてこと、できる男じゃない。用心深くて引っ込み思案でオタクっぽくて…、ずっとパソコンに向かっているような理科系男。でも、本当は、とっても思いやりがあって心優しい男の子だったんです。
おかげで、私は、安心して剛史とつきあってこれた。私だけがほんとうの剛史を知ってると思えたし、お互いしか知らない恋人同士が、そのまま一生添い遂げられるなんて最高に幸せ!って、ずっと思っていました。

そんなわけで、その電話にも、私は、それほどショックを受けなかった。もちろんちょっとは心配しましたけど、何かの間違いって感じで。
ちょうど仕事が忙しくて、珍しく1週間以上剛史と会っていなかったんですけど、きっと剛史、仕事が辛くてやけ酒でも飲んで、飲み屋で会った女の子にでもナンパされたか、ぐらいに思った。それで一晩浮気をしちゃったとしても、剛史が謝ってさえくれれば、私は許してあげられる…、私はそんなふうに考えました。
その晩、残業で仕事が11時すぎに終わってから、すぐに剛史に電話しました。
「今日、会社にへんな電話があったんだけど、剛史、なんかしたでしょ?」
「え……」
「サキコって子から、電話あったんだよ。私のケータイ、私の知らない人に教えたの?」
「え…、そんなことしないよ。おれ」
「でも、サキコって子、知ってるでしょ」
「サキコ? え、まあ」
「サキコって、どこの誰?」
「あの……、取引先のOL」
「で、サキコって子と何かしたの?」
「何って、何も…ないよ。取引先で会ってるだけだよ」
「まさか、それだけで、どうして私のケータイ知ってるのよ、その子が」
「だから……、何かの間違いだよ、きっと」
このあと、剛史は黙り込んでしまいました。何を聞いても「え……」とか「それは……」とか。もともと、話すのが苦手なほうだし、私の責めるような口調にまいっちゃったんだと思いましたけど、でも、やっぱりへん。さすがの私も、不安になりました。で、ちょっと優しく言ってみたんです。
「サキコって子、剛史は自分の恋人だって言ったんだよ。だから、私につきあうなって。そんな話、私は信じないけど、でも、サキコって子が、そんなふうに思っちゃうような、何かがあったでしょ。正直に言ってよ。責めたりしないから」
すると、少ししてから、剛史は言いました。
「ごめん、かおちゃん。ごめん」
それは、聞き取るのがたいへんなくらい小さな声でした。しかも、そのあと、剛史のほうから勝手に電話を切ってしまったんです。

呆然としました。こんな微妙な話のとき、剛史が一方的に電話を切るなんて、それまでにないことでした。どんなにけんかしても言い合いしても、剛史が、私を冷たく拒絶するようなことは一度もなかったんです。
だから、何かわからないけど、とにかく深刻なことが起きたんだと思いました。まるで、私の知らない剛史がいるみたいで、剛史のことは誰よりも知ってると思ってた私には、すごいダメージでした。
普通に考えたら、剛史がサキコって子を好きになった、私以外の女の子のことを好きになったんだってことですよね。
そうかもしれないと、ちょっとは思いました。でもやっぱり信じられない。そんなことあるはずないって思いました。友達に言っても、あり得ないって言ってくれるだろうって。
どっちかというと、剛史よりは私のほうが明るくて楽天的だと思うけど、それだって剛史と比べればってことで、私も社内のOLの中ではおとなしい子でした。剛史という安心できる彼氏がいるから、楽しくやってこれただけのことで、その土台が崩れてしまったら、私だってもうダメ。

一晩ほとんど寝ないで考えた私は、結論として、電話のこと、忘れることにしました。つまり、サキコって子からの電話がなかったことにすればいいんだって思ったんです。そうすれば、考えたくもないことを考えなくてすむし、剛史のことを疑う必要もないし、剛史を問いつめなくてもすむし…。
相手が一方的に叫んだだけの1分にも満たない電話なんて、私と剛史の長い関係に比べれば、ほんの一瞬。無視したってかまわない。1分で、6年以上の関係が崩れるなんてこと、あり得ないからって。
だから、翌朝も、いつもどおり、剛史にメールで「おはよ」って書いて、「今日も残業なんだ。ごめんね」と続けた。そうしたら、剛史からも、「おれも今日は残業」って、いつもどおりの返事が来て、安心したのを覚えています。
で、それからも1週間ぐらい会えなくて、3週間ぶりくらいに休みが一緒にとれたときに会ったんですけど、もちろん、例の電話の話は一切なし。前と同じように、私の部屋でDVDで映画を観たりして過ごしました。
とは言っても、もちろん内心はびくびくしていました。電話のこと、忘れよう忘れよう、なかったんだなかったんだって、1週間ずっと自分に言い聞かせてきたけど、忘れられるわけありませんよね。でも、なかったことにして剛史と一緒にいれば、きっといつか忘れられるって、そう信じていたんです。



それから3か月ぐらいは何事もなく、前と同じように平穏に過ぎていきました。
実際3か月もたつと、電話のことを忘れてる日もあったし、剛史のようすも変わりなかったから、そんなに気にならなくなっていました。ただ、ちょっとの変化といえば、早く結婚したいって言ってた剛史が、結婚のこと言わなくなっていた。でも、結婚話のたびに、私のほうがもう少し待ってと言い続けてたから、きっと、いったんあきらめたんだろうと、たかをくくっていたんです。
そんなときでした。会社の同僚の結婚式があって、花嫁が一つ下の後輩だったんですけど、うれし涙を流している花嫁を見て、私、もらい泣きしてしまいました。平凡な結婚式だったけど、新郎の照れ笑いや新婦のキラキラした目や、両家のご両親のようすなんか見ていたら、結婚っていいなあって、私、しみじみ思っちゃって。もうすぐ私も26歳。26歳のうちには結婚したいなあって。
そう思うと、なんで今まで結婚したくならなかったんだろうって、自分でも不思議なくらいでした。相手がいないのならまだしも、親も認めてくれてる相手がいるのに、私の気持ちだけで結婚を遅らせてたなんて、私ってバカみたいと思いました。それに、結婚すれば、あの電話のことも永久に抹殺できると、チラッと思いました。

善は急げと、結婚式の帰りに剛史の家に寄って、結婚したくなったこと、剛史に告げました。
「お待たせしたけど、ついにその気になったの。来年の2月で26歳になるから、26歳のうちには結婚したい。よろしくね、剛史さん」
私、とっても気分が高揚していたと思います。剛史を前にして、きちんと頭を深々と下げてそう言ったんです。もちろん、剛史が喜んでくれると思ってたから。
ところが…、剛史の反応は、予想とは正反対でした。例によって話し下手だから、すぐにどうこうというわけじゃないんだけど、まず、困った表情をして、それから目をそらした。その後でようやく、「あの…、うれしいんだけど、ちょっと困ったことがあって…」と向こうを向いたまま言ったんです。
私は、また責めるようになっちゃいけないと思って、ちょっと黙って待っていました。そうしたら、
「実は、来年3月に転勤になると思うんだ。だから、来年、結婚するの無理じゃないかと思う」と言います。
私は、がっくりきました。でもいろいろ聞くと、転勤というより半年から1年程度の長期出張みたいだし、場所も静岡だし、結婚するのに支障はないように思ったんですけど、剛史はどうも乗り気じゃない。「忙しくなるから、結婚の準備ができない」みたいな言い訳をしました。
なんか剛史のようすがこれまでと違うと、あらためて思って、そのときはそのまま引き下がったんですけど、家に帰ると、しばらくの間平穏だった心の中が、不安でいっぱいになりました。
そして思い切って、剛史と共通の友達に電話をしたんです。
男の子で、剛史の大学時代の親友で、私も大学時代から知ってた友達です。もし、私の知らない剛史がいるなら、そんな剛史を知っているのは、彼しかいないと思ったんです。「ちょっと相談したいことがあるんだけど、時間ないかな」って頼んだら、彼、吉田くんは、次の日の会社帰りに会ってくれました。

渋谷のカフェで待ってくれていた吉田くんは、私の顔を見ると、早速本題に入ってきました。彼は、明るくて元気なやり手の営業マンなんです。
「いつか、連絡あるかもって思ってたんだよ」
「え、どうして?」
「布施のやつ、きっと、香織ちゃんに言えてないと思ったから」
「え、なに? 何かあったの?」
吉田くんは、「ちょっと待って」といって、私のグラスにビールを注ぎ、居住まいを正すように座り直して話し始めました。
「まず、言っておく。これからおれの話すことは、本当は布施が直接、香織ちゃんに話すべきことなんだ。それが筋だってことは、布施もわかってる。
でも、結局、今の今まで、布施は言えなかったわけだ。おれは、香織ちゃんから相談があったときには、おれから話すと布施に言ってある。だから、今日、おれは香織ちゃんに知ってることをすべて話す」
ここまで言われれば、私だって、すごく深刻なことだってわかります。心の準備をしていたとは言えないけれど、しっかり落ち着いて聞かなくちゃって思いました。
「香織ちゃんにはショックなことだと思う。でも、このまま知らないでいるよりは、知っておいたほうがいいと、おれは思う」
「うん、わかってる」
そんなふうに始まった話は、本当に衝撃的な内容でした。
私の知らなかった剛史がいたというだけでなく、私自身の知らなかった面を突きつけられた、そんなショックだったんです。

まず、剛史は、ここ1年ぐらいキャバクラに通っていた。キャバクラで仲良くなった女の子とホテルにも行っていた。
「きっかけは、男の性的欲求だな。布施はもっと香織ちゃんとセックスがしたかったんだ。でも、香織ちゃんにやんわり断られると、それでもやりたいなんて、言えなかったんだ」と、吉田くんは言いました。
もんもんとした気持ちを解消するために、会社帰りにキャバクラに行くようになった剛史は、キャバクラでベタベタするだけではあきたらず、女の子に誘われるままホテルにも行くようになったんだそうです。
そのうちに、ひとりのキャバクラ嬢が、剛史のことを本気で好きになった。それがサキコ。いわゆるキャバクラ通いをするタイプとは全然違う剛史に、サキコは夢中になってしまったらしいんです。このへんは、吉田くん、“剛史の話から類推すると”と言っていましたが、とにかく、サキコは優柔不断な剛史を積極的に誘って、自分の部屋に連れ込み、彼の性的欲求を満足させ、結果、相当親密な関係になってしまったと…。

吉田くんは、こんなことも言いました。
「布施自身、自分がサキコを好きかどうか、よくわからないんじゃないかと思う。ましてや、香織ちゃん以上にサキコのことを好き、ということはないと思うよ。それは断言できる。でも、香織ちゃんと布施の関係には、おれも感じてるけど、姉と弟みたいな、きょうだいみたいなところがあるだろ? はたち前からつきあってるし、香織ちゃんは、どこか布施をかわいい弟分みたいにリードしてきたし」
それは、言われてみて、初めて気がつくことでした。確かに、私は、いつも剛史との会話をリードしてきました。それは、話し下手な剛史に、話しやすい状況を作ってあげようという気持ちからでした。でも、まるで子供を問いただす母親のような聞き方だったのは確か。
「布施は1日中研究室にいる仕事をしてるし、ほんとうにオクテだしオタクだよ。それでも、少しずつは成長してきた。本当は香織ちゃんとの関係も変えたくなってきたんだと思う。男として、香織ちゃんをリードしたい、従わせたいという気持ちが出てきたんだと思う。でも、まだまだ香織ちゃんのパワーには対抗できないんだな。だから、一種の逃避行動というか代償行為として、サキコって子のところへ行ってるんだろうと、おれは思っている」
そして最後に、吉田くんは、こう言ってくれました。
「おれは、君たちが結婚するのに賛成だ。香織ちゃんと布施はお似合いだし、結婚してもうまくいくと思ってる。でも、今のままで結婚するよりは、一度、ふたりの関係を見直したほうがいいんだろうと思うよ。子供同士の関係から大人の関係へってとこかな。だから、おれ、今日、知っていること全部話した。布施の成長を、少しの間、待っててやってほしいんだ。きっといつか、サキコとも別れると思うから」

私、家に帰るまでは我慢して、自分の部屋に入ったとたん、大きな声をあげて泣いてしまいました。母親がびっくりして飛んできたけど、わめいて追い出して、ひとりでおいおい泣いたんです。
剛史が浮気してた…ショックでした。でも、それだけじゃない。私の知ってる世界そのものが崩れたような感じ。これまで私が信じていた世界が全部ウソだったみたいな。
剛史のこと、誰よりも知っていると思っていたのに、そんなの真っ赤なウソだった。剛史がセックスしたいと思っていたことを、全然知らなかった。気弱な剛史のことを気遣っていたつもりだったのに、全然わかってなかった。
なんでほかの女の人とセックスする前に、私に言ってくれなかったのよ、そんなのずるい!って、剛史を責めたかった。でも、それが言えない剛史だってこと、私は誰よりもよく知っていたはず。そして、そんな剛史でいいと思い込んでいた、それも確か。
そして、剛史のからだを私以外の女の人が優しく愛撫していて、剛史とセックスしていて…、想像したくなんかないのに、ありありと想像してしてしまいます。もう、それは胸が焼け付くように痛くて痛くて、声を出して叫びたいほどでした。
そう、私は生まれて初めて、嫉妬に身もだえしてしたんです。

一晩泣きはらしてから、私は、生まれて初めて、いろんなことを考え始めました。くる日もくる日も、剛史とのことや自分自身のこと。自分がこれまで何を考え、どう生きてきたかってこと。
苦しかったけれど、吉田くんが言った「大人」という言葉が支えのような気がしました。つきあい始めたとき、私も剛史も子供だった。そして子供の関係のまま、25歳を超えてしまった。ほんとうはその間にふたりとも変わっていたのに、私は全然気づいていなくて、そのせいで見えてなかったことがいっぱいあった。それを思い出してみようって、そんなふうに思ったんです。
いろいろ考えると、剛史に言いたいこともいっぱいでてきました。でもまずは我慢しした。自分のことをひたすら振り返ってみることにした。
というか、本当のことを言えば、このまま剛史に会ったら、ひどいことを言って、剛史に永遠にフラれるんじゃないか、剛史が永遠にサキコのところに行ってしまうんじゃないかって思ったからです。
私、それまで、自分がわがままだなんて一度も思ったことなかったんですけど、でも、考えれば考えるほど、すごく自分勝手に生きてきたんだと思いました。剛史という安心できる恋人がいて、それが当たり前になって、何を言っても許してくれるから、結局、剛史の内気な性格を気遣うふりして、やりたい放題してきたんだ…と、初めて気がつきました。
そのことに気づくと、これまで剛史との間にあったことが、全部違って見えてきたんです。あのとき私はこう思ってたけど、剛史はきっとそうじゃなかったんだ…みたいなことがいっぱい出てきました。
そうなると、剛史に会いたいと思っても、とてもじゃないけど怖くて会えない。だって、今までのようにはふるまえないし、かといってどうふるまったらいいかわからない。下手なこと言って嫌われたら死にたいし…。

うじうじしながら仕事だけの生活をしていたら、剛史からメールが届きました。
「吉田から話は聞いたんだよね。ごめんなさい。悪いけど、しばらく会わない」
そんなメールでした。
「うん、私も頭を冷やす」と返事をしました。
吉田くんから話を聞いてから1か月ぐらい経ったころでした。



尻切れトンボみたいですけど、実は、剛史と私の関係は、これで終わったんです。男と女の関係って、こういうこと、案外あるんですよね…なんて、今なら冷静に言えるけど。もちろんそのときは、ずっとずっと剛史からの連絡を待ってました。
 でも何の連絡もないまま、3か月ぐらいたったときかな。吉田くんが、「実は…」と電話してきて、サキコが剛史の子を妊娠したことを教えてくれました。吉田くんは「すまない」って謝ってくれたけど、別に彼が悪いんでもなんでもないし。
 もちろん、私は何もしませんでした。できるわけないですよね。直接、剛史から聞いたわけではないけれど、私が知ってる剛史だったら中絶してくれなんて言うはずないし、サキコが剛史を愛している限りは、剛史はその気持ちにこたえようとするだろし。誰よりも剛史のことを知っている私は、そう思って泣きました。

あれから4年たちました。剛史のあと、私は3人の男性とつきあいました。結婚したいなんて思わなかったから、どれも自然消滅。ま、大人の関係なのかもしれませんね。
もちろん、今でも、私にとって、剛史とのことは後悔してもしきれないくらいの経験です。でも、あのまま結婚なんてあり得なかったことも、今はわかります。あまりにも私は子供だった。もちろん剛史も。だから、あれは、当然の結末だったんです。
今、剛史はサキコさんと子供と一緒にアメリカへ海外赴任しているんですけど、サキコさんって、元キャバクラ嬢とは思えない、いいお嫁さんらしいんです。そんなサキコさんのおかげで剛史は大人になれたのかな、なんて想像しています。でも、大人になれたんだとしたら、私にした仕打ちについても、いつかきちんと謝ってほしいとは思っていますね。だって、私、まだ剛史以上の人に出会っていないんだから。

Fin
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