独身、しかも現在取り立てて特別な人もいない私は、生業とする披露宴の司会をしながら、新郎やその友人に好みのタイプを見つけて、密かに楽しんでいる。大変不謹慎なようだが、もう10歳以上も年の離れた世代が相手なのだから「目の保養」と称し、自らを正当化しているこの頃である。
その日の私は、朝からご機嫌だった。元カレに顔が酷似している新郎の披露宴を担当する日なのだから。開宴前から新郎の顔を見る度に元カレを思い出して口元が緩む。しかし開宴後、確認漏れを中座中の新郎新婦に尋ねようと控室のドアを開けたその時だった。私は、見てはいけないものを見てしまったようだ。
心が動揺し始めた。披露宴の司会者として、仕事中に激しく動揺することほど恐ろしいことはない。その後の話しぶりに大きく影響を及ぼし、人様の一生に一度の大切な時に大きな失敗を犯すことにもなりかねないのだ。そんなことは、経験上、百も承知の上だ。が、それを見た瞬間、私の心は大きく揺れ始めた。それは持ち場に戻り、マイクを手にしても自分がコントロールできないと感じるほどのものだった。どうしてそこまで動揺してしまったのか、その時にはよくわからなかった。 |