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私の恋愛ストーリーエッセイ佳作
女が男を忘れるとき
筆者::ゆきうさこさん
別れを告げられたとき、開口一番、「部屋の鍵、返して」と言い、翌日には「荷物、取りにきて」と言った私。
でも、さっさと忘れてしまうのかといえば、決してそうではないのだ。
イラスト/福田さかえ
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大学時代に3年も同棲した彼氏と別れたとき、一週間で体重が6キロも落ち、この世の終わりだと思った。何とかしてまた付き合いたいと言わせたい、あるいは後悔させたいと思いながら、私は毎日を過ごしていた。
新しい彼氏ができても元彼の学部の前を通るときは緊張した。ドラマのように偶然に会って「あなたが振った女は、こうしてまた別の男に惚れられて認められているのよ」と見せつけたい気持ちと、ただ単に懐かしい気持ちが入り混じった感じだった。
まぁ、でもそんなときほど、別れた男には偶然に出会うことはないものである。
男は女を強い動物だと思っている節があり、恋愛でも泣くだけ泣いたらさっさと昔の男なんて忘れてしまうんだろうと思っているかもしれない。私も、その彼から別れを告げられたときには開口一番、「部屋の鍵、返して」と言い、次の日には、「部屋の荷物まとめたから取りにきて」と言って相手を仰天させた。「俺のことなんてさっさと忘れてしまうんだろうな」と捨て台詞を吐かれた。でも、そうではないのだ。

自分から別れを告げたのではないかぎり、男から別れを告げられた女は、とくに気持ちの残っている女は、その瞬間から臨戦体制にはいる。
それは女のプライドをかけた戦いである。しかもそのプライドには二つの種類があり、「男を取り戻したい」という思いと、「男を後悔させたい、見返してやりたい」という相反する思いが共存する、異様な事態となるのだ。
そして前者はストーカーとなり、後者は「新しい男をつくるぞ」というエネルギーに変わる。だから別れた男には固い態度を見せながら、実は心は悲鳴をあげているのだ。
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