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●翌日のクリスマスも、そのあとも連絡はなかった。
●そして、大晦日の日、陸はやってきた。ふたりでファミレスに入ると、開口一番に彼は言った。
●「前の彼女と一緒に住むことにした。別れてほしい」
●納得ができなかった。ヨリを戻したならまだしも、何故一緒に住みだすのか、わからなかったのだ。
●私は心を落ち着けて、「いつから?」とひとつずつ聞き始めた。ゆっくりと聞いていくと、彼もゆっくり話してくれた。
●彼の話は、こうだった。
●彼女の店で飲んでいて、酔いつぶれて部屋に泊まった。その時寝た。そうしたら、2週間前に妊娠がわかった。今、産むつもりはないが、責任を取って彼女と結婚しなければならない――。
●私は、彼の考えの「身勝手な男らしさ」に呆れてしまった。責任って何? 何なの? この人の言ってることは?と思ったが、私の口から出たのは、自分でも意外な言葉。
●「子供は産まない。堕ろしてから一緒に住むって、何?
●それは、あなたが自分はどうしたいのかって考えた結果なの?
●そうじゃないなら私は別れない。
●あなたの言い分には、私が嫌いになったとかっていう明確な理由がない。
●私はあなたのことが好き。だからそんなわけのわからない理由なら納得できないよ。
●過ちで彼女とそういうことになったのなら、私は気にしない。このまま続けよう。
●でも、陸が彼女と続けていきたいっていうなら、私は止めない。別れる。
●ただ、責任を取るためだけに一緒に住むっていうのは納得できないの。
●もう1回、あなたは何がしたいのか、どうしたいのか考えて来て」
●私は、こう言って席を立った。
●その時の彼の顔は、今でも忘れられない。ああいうのを「狐につままれた顔」というのだろう。彼は、私が泣き叫んだりするのを予想していたのに逆に諭されたものだから、狐につままれてしまったのだろう。
●私はその時、誰に対してかわからないが「勝った」、と思った。
●それから1か月後、彼は、
●「全部きれいにしてきた。もう一度やりなおしたい」
●と言ってきた。
●彼を取り戻した、と、私は安堵した。でも、すでにそのとき、私の心のドアは、彼に対して完全に閉まっていた。それから半年、彼との関係は続いたが、完全に冷めている自分の心を確信して、私は彼に別れを告げた。 |
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●とって、とられて、取り戻して…。3年に渡って、もう一人の「明香」と戦い続けた私。同じ名前の女ふたりで男を取り合うなんて、そうない話だろう。彼とは、今でも友人としてつきあっている。
●「もう明香という名前の女性とは、怖くてつきあえない」
●陸は言う。それはそうだろう。
●私は、今、会ったこともない彼の前の彼女、明香さんに対して、妙な親近感というか、一緒に戦った「同志」のような思いを抱いている。いつの日か、紹介してもらいたいと思っている。
●略奪愛、イコール、ドロドロというイメージが強いけれど、結婚前なら、私はやってしまってもいいと思う。自分に正直な気持ちで恋愛していきたいし、男性にも正直な気持ちで恋愛してもらいたいと思うから。FIN |
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