●あの恋がやっと終わった、そう心から思えたのは、親友の結婚式。
●大学時代の恋は長い。同じサークルで、授業も一緒に受けて、毎日がデートみたいなもんで、そんな、どこにでもいるカップル。
●それでも私達は他のカップルに比べて、自分でいうのもなんだけれど、世界中で一番素敵な、愛し合ってるカップルだと思っていた。
●「結婚しよう」
●そう決めたのは社会人1年生のとき。私達は23歳になっていた。
●「26歳の私の誕生日に結婚しよう!」
●私達は互いが運命の人だと思っていた。なんの迷いもなかった、この時は……。
●社会人1年目、彼の体調がすぐれない。休みを利用して旅行に行く予定がキャンセルになった。彼の体調が心配だった。
●それから、彼は何度も体調を崩した。社会人になって頑張りすぎたのかな?
●違っていた……。
●彼は治らない、不治の難病に侵されていた。すぐに死とは結びつかない。でも一生背負わなければならない病だった。
●それからは、彼の体調を気にしながらのデート。他のカップルと何も変わらなかったはずなのに…。旅行も、遠出もできなくなった。
●私の心に怖さがふつふつと湧いてきた。
●結婚していいの?
●運命の人だ、この人以外ありえない。でも……。
●その繰り返し。
●一生その彼を支えていけるの?
●私はもっと遊びたかった。いろいろなことをしたかった。私の欲望はどんどんふくらんでいった。彼を支えていく暮らしじゃ何もできないかも……。
●私は彼を支える自信がなくなって、とうとう逃げ出してしまった。
●別れを告げた。
●別れてから1か月後、彼から手紙が届いた。
●「病気のことを心配させてごめん、25歳の夏、行きたがっていた海外に連れて行くために貯金をしていたの。そこでプロポーズしようと思ってたのに……」
●私達がともに過ごした5年間の思い出が、びっしりと7枚の便箋に書かれていた。
●涙が止まらなかった。逃げ出した自分を後悔した。自分の弱さを悔やんだ。
●何度も返事を書いては破った。やっぱり怖い……。
●結局、私は、彼への思いを心に閉じ込めた。戻る勇気がなかった |