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LoveLaboratoryFAnetOnline Novels 私の恋愛ストーリー入選作品一覧
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私の恋愛ストーリーエッセイ佳作
初恋
体験談筆者:なの花さん
※体験談部門受賞作品は、応募作品の内容をもとに書き起こした小説として紹介してあります。Novelization:笹倉 紫
絆創膏の下に緑色のペンで好きな人の名前を書くと結婚できる…、それは、小学生の私の小さな悲しい恋の思い出。学校を卒業して就職して独立して、大人になった私が再会した彼とは……。
イラスト/福田さかえ
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小学4年生の4月、私は鹿児島から神戸に転校してきた。
「こんな都会があるなんて」
鹿児島の山奥しか知らない私はドキドキした。みんなが何をしゃべっているのか、さっぱり理解できなかった。帰宅すると母に、「ねぇ、ごっついってどういう意味?」とか「めっちゃって何て意味?」と、訳してもらっていた。
鹿児島に比べて神戸の言葉はきつく感じる。鹿児島訛りで話して、「なまり〜、なまり〜」と男の子からいじめられた私に、「伊藤さんって鹿児島から来たの?」と、唯一優しく話しかけてくれたのが、隣の席の麻生君。
彼はサッカー部で運動神経が抜群で、顔も男前。今で言うなら、ちょうどベッカムみたいな感じだった。いつも彼の周りには女の子が群がっていて、私が近寄る隙間はなかった。遠くから見るだけで精一杯だった。
前の席の沙織ちゃんと仲良しになった。彼女は活発で、いつも志村けんのマネをしてサルみたいだったけど、私は大好きだった。私と話をしながら、麻生君の席をチラチラ見る彼女に、「ねえ、沙織ちゃんって麻生君が好きなの?」と聞くと恥ずかしそうに頷いた。
転校してきてできた初めての友達、沙織ちゃん。彼女を失いたくなかった。私の気持ちは心の中にしまっておこうと誓った。
沙織ちゃんと私は、放課後に麻生君の話をし、交換日記も彼の行動で埋め尽くした。私は、そうすることで麻生君を感じる事ができた。十分幸せだったのだ。沙織ちゃんには、絶対に自分の気持ちを悟られたくなかったから、冗談で、「沙織ちゃん、私と席変わろっか?」と言ってみたり、ノートに二人の相合い傘を書いてあげたりした。
ある放課後、沙織ちゃんは、「絆創膏の下に緑色のペンで好きな人の名前を書くと結婚できるんだよ」と言いながら、お腹を自慢げに見せた。ちいさな絆創膏。その瞬間、何とも言えない感情が私の中に走った。
急いで家に帰った私は、救急箱から絆創膏を取り出し、机の中から緑のペンを探し出して、沙織ちゃんと同じようにお腹に絆創膏を貼った。絶対に誰にも見せないと心に決め、おまじないをかけるように、ノート一面に麻生君の名前を何十回、いや何百回も書いた。
中学に進学するとき、父が芦屋に中古に家を買ったため、私は、麻生君や沙織ちゃんと同じ中学に入学することができなかった。それ以来、沙織ちゃんには会っていない。もちろん麻生君にも。大人になるまでは。
高校は女子高。バイトに明け暮れ、大親友になった良美ちゃんと毎日、くだらないことばかり話して、楽しかった。
コンピューター専門学校を卒業後、メーカーに就職。OL生活を3年続けたが、生来の独立願望も手伝ってあっさり辞めた。
念願の喫茶店を開店したが、半年で失敗。気になっていた写真屋でアルバイトを始めた。
写真屋は、沙織ちゃんと自転車でよく来た麻生君の家の、道をはさんで向かいにあった。
麻生君はどうしているのかな? 懐かしさを感じながら写真屋で働いた。
一年後、私は店長になった。
「麻生です」と、ある日店を訪れたのは、麻生君のお母さんだった。内心驚いたがごく自然に接客。写真屋は撮影された写真をチェックするのも仕事だから、私生活も分かってしまう。麻生君は結婚していて、1人めの赤ちゃんと家族で鍋を囲んだ写真だった。
嬉しそうに微笑む麻生君、ちょっぴりショックだった。
写真を取りに来た麻生君のお母さんに、つい言ってしまった。
「私、麻生君のこと、小学生の時に好きだったんです。同級生なんです。たぶん彼は覚えてないと思うけど、彼、結婚しているのですね。お子さんいて…、おめでとうございます」
「え〜、そうなん? 友和もてたの?」と、お母さんは笑って言った。
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