オフィスの一番の自慢は、この本棚とガラスタイルのモザイク壁。本棚の奥にはゴールドのツタ柄を使い、間接照明でくっきり浮かび上がるようにデザインした。なかなかロマンチックでムードがあるだろ?
まわりはすっかり年末ムード一色。昨日もおとといも街に出かけたけど、銀座も丸の内も、西麻布も六本木も、サラリーマンでいっぱい。あちこちの忘年会もたけなわだね。僕といえば、芸能人のディナーショーの衣装作りに追われたり、かと思うと、あちこちのブランドのパーティや食事会に呼ばれたり。そんな毎日で胃と肝臓が、早くも悲鳴をあげてるよ。
とくに今年は、11月からものすごく慌ただしい毎日でさ。というのも、このページでも何度か話したように、8月の末から約3か月間、僕が購入してから19年経つマンションをリフォームしたからなんだ。
今回のリフォームの一番大きな目的は、4つあった部屋の壁をぶち抜いて2つにするということ。僕の約30年のデザイナー人生でたまりにたまった、型紙やら作品やらサンプルやらの資料が、今まではこの4つの部屋の半分くらいを占領してたんだけど、リフォームしてから、これを大幅に整理しなくちゃならなくなったんだよね。
この資料だけで、なんと段ボール箱100個以上。これを何とかしないことには、新しい家具も入れられないし。たとえばベッドはリフォーム前に捨てちゃったんだけど、新しいのをまだ決められなくて、未だに床にマットだけを敷いて寝てる。そんなんだから疲れも取れないし、朝起きた時から、肩がこってゴリゴリだもんな。
オフィス奥の右側コーナーは、接客用のスペース。自慢は天井に設置したシャンデリアなんだが、1950年代の英国製。アンティークショップで見つけたもの。
オフィス奥の左側のコーナーが僕のデスク。ガラス、テーブル、椅子、棚、すべて1930年代にデザインされたハーマンミラー製なのだ。
先週もちょっと書いたけど、たかが資料なんだけど、僕にとっては自分がデザイナーとして生きてきた記録みたいなもんで。捨てるっていっても、そう簡単にはできないんだよ。資料をひとつひとつじっくりチェックして、その頃の日々に思いを馳せたり。体だけじゃなくて、精神的にもくたくたになりながら、毎日黙々と段ボール箱と格闘してるよ。
このマンジョンは、僕が30代のとき、つまりバブルの真っ盛りに購入したもんなんだよね。僕も景気がよかったころで、7億円の新築物件だったものをポンと買っちゃったんだ。ところが今はこれが売っても1億3000万円くらい。差額の5億7000万円って、いったいどこいっちゃったんだよ、おい。
ちなみに片付けは大変だけど、おもしろいこともあるよ。一番強烈だったのが、このマンションを買った当時の不動産屋のパンフレットが出てきたことだよ。何でもあり、のバブルの時代。マンションのパンフレットも煽ること煽ること。あることないこと、べらべらべらべら。大笑いだよ(笑)。たとえばこんなフレーズ。
『ソファーにくつろぐ、そしてその窓越しに見える風景を眺めているだけで、美しい叙情詩が心を奏で、色彩と陰影が醸し出すこの見事なコントラストの中に、選ばれた場所でしか見ることのできない、都市美という数々の物語が生まれ、それをかいま見ることができる…』
さらにキャッチコピーは、「今、品をここにまとう」。「The beauty of city, the view of two facedness」。なんのこっちゃーい! しかし、こんなパンフレットを大事に取ってあるってことは、僕も当時は、こんなコピーに心動かされてたんだろうな。バブルってこわいわ、ほんと。
ま、売ろうと思ったこともあったけど、7億の高級マンションには、さすが高級マンションなりの内装もされているし、たぶん価格のうちの1億円以上は内装代だったと思うんだ。たとえば今売って、1億3000万円のマンションに買い換えても、内装はせいぜい2000万円くらい。そんなこともあって、悩んだあげく、リフォームすることにした。
(写真左)これは自宅エリアのプライベートルーム。やはりプライベートは気持ちが安らげるインテリアにした。カーテンはイタリア製で、目玉が飛び出すほどの値段だったよ。
(写真中)玄関は21cm幅の白黒のストライプにした。しかしただのストライプじゃないんだよ。黒の部分を光沢仕上げにして、白の部分は漆喰にして凹凸をつけたんだ。来年はこのストライプの壁に、イタリアから届く真っ赤なシャンデリアがつく予定。
(写真右)オフィスと自宅エリアをつなぐ廊下。一見、モノトーンと無機質だが、床は6色に染め分けた、凝りに凝った自慢のフローリングになってます。
これも僕の自慢のトイレのインテリア。日本人は自分の主張がないぶん、無難になりがちだが、実は一番人の印象に残り、オーナーの趣味が出るところがトイレ。ちなみにゴールドと白と濃茶の水玉柄になっている。
で、今回はすべてのデザインを自分で手がけて、服を作るときと同じように、直接大工職人に指示を出しながらできあがったリフォームなんだ。そんなわけで、今回のリフォームは自分の感性や趣味を知る絶好の機会にもなった。ド派手な中でも品位というか、高尚さというか、そういうものが僕はほんとに好きなんだよね。質感にとことんこだわって、我ながら完成度の高い部屋になったと思う。
たとえばガラスのタイル。タイルを使うとどうやっても、お風呂場というか、足洗い場みたいになりがちなんだよね。そこで僕は、ガラスのタイルのざらざらしたところを表に出して、すべて接着剤でひとつひとつ止めるようにしたんだ。これで、ガラスの半透明な質感が出て、すごく気に入ってる。
まあ、とにかく今回、ほんとにいろんな勉強をさせてもらったよ。今回のリフォームは、自分の残りの人生のシンボルのようなもの。そこで、資料を見過ぎたり、人の意見を聞きすぎると行き詰まる。あくまでも自分を信じないと、ろくなことがないんだよね。
とくに自分のファッションの仕事とは畑が違う世界だから、学んだことも多かった。まあ、それはいいんだけど、ぜんぜん減らない段ボール、どうしよっかなあ。
バブルの真っ只中、1989年にこのマンションを購入したときの価格表。今思うと、正気の沙汰じゃないよ、この価格は。単位は「万」で、200平米が9億4200万円という部屋もあったりする。
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