今週は史上最年少で今年の賞金王に輝いたプロゴルファーの上田桃子のことを書こうと思う。07年もたくさんの人がその名前を世にとどろかせたよね。化けの皮がはがれた役人もいれば、流行語ひとつで一世を風靡した人もいた。はたまた海パン一丁で大人気になった人とかさ。そんななか、彼女の場合は自分の努力で栄冠を勝ち取ったというところで、僕にとっては印象的な07年の顔のひとりなんだ。
僕は今57歳。29年前にゴルフを覚えて、言ってみればベテランの域だよね。ファッション業界では意外にゴルフをする人が少ないせいか、業界内では1、2を争うゴルフ好きとして知られてるんだ。そんなわけでゴルフ番組もよく見るんだけど、彼女の活躍というのは僕に勇気をくれるんだよね。
撮影/藤岡雅樹
まあゴルフっていうのは、僕が始めた当時から、中途半端な金持ちの道楽というイメージで、あんまりいい感じはしなかったね。自分でも「僕ゴルフやってます」なんて、めったに人に言うこともなかったもの。
なんたって許せなかったのは、プロのゴルファーたちのファッションだったんだよ。ゴルフウエアというと、とにかく高い割にダサい服というイメージ。僕が始めたころは、傘とか熊のマークのワンポイントくらいしか、ファッションといえる要素はなかったな。そうそう、自分でもめったにゴルフウエアなんて買ったこともなかった。だいたいが自分のブランドの、カジュアルな服で代用してたよね。
それに比べて、昔からアメリカのプロのかっこいいこと。なんで日本のゴルフ界はこうなんだろうって嘆かわしく思ってたよ。デザイナーとしての僕も、古くからゴルフなどのスポーツウエアを手がけてきて、この業界とのつきあいも長いんだけど、ゴルフウエアのメーカーっていうのはやっぱりファッションのチャンネルが弱い。
もうほんと、考えられないレベルの低さだもの。ここだけの話、業界でも、ゴルフウエアは落ちこぼれたデザイナーの行き着く先というイメージで、作り手としても、とにかく印象がよくない時代が長く続いたんだ。
そのゴルフウエアが、ここ2〜3年で大きく変わったよな。横峰さくらとか、ミシェル・ウィーとか、ポーラ・クリーマーといったオシャレなゴルファーがつぎつぎ出現して、新たなブームを作りつつある。そのなかでも上田桃子っていうのは、僕が思うに、抜群なバランス感覚を持ったキャラクター。
そんな美人でもないし、体も小さくて華奢。でもとびきりの精神力と努力で、賞金王という栄光を自分から取りにいった。屈託のない笑顔と、明るくかわいいイメージもチャームポイント。ほんと今年一年、たくさんのおじさんたちを癒してきたと思うよ。
撮影/藤岡雅樹
このバランスっていうのが、今の時代はすごく重要なこと。ある部分が突出していると、ほかのところは日本人の平均以下という偏った人たちが多いんだけど、彼女の場合は普通の女の子の感覚も、ほどよい流行も、バランスよく身につけてる。
この前たまたまテレビを見ていたら、賞金女王になった彼女がインタビューを受けていて、あらためて私服の彼女を見たんだけどさ。髪をアップにして、代官山あたりを歩いている女の子とぜんぜん変わりがない感じ。でもいいこと言ってたよね。ゴルフっていうのはすべてのマネージメントを一人でやるスポーツだろ。そんなプレッシャーにさらされたとき、「追い込まれて緊張した自分が好き」って。こんなことを堂々と物おじしないで言っちゃうところも、まさに今の時代が求める女の子っていう気がしたな。
というわけで最後に、彼女のファッションチェックをやってみたいと思う。彼女の場合はすごく色を使うんだよね。最初の1枚は、ピンクと白のコンビネーション。トップスはアーガイル柄のジップアップブルゾン風のタイトなニット。ここにピンクのショーツを合わせた。
これはスポンサー絡みでしょうがないけど、ちょっと気になるのは野球帽だな。ポニーテールにヘアスカーフをちょっとリボン感覚で巻いたら、さらによかったのに。またはミリタリーの帽子なんかも似合うんじゃないかね。
2枚目の写真も例外じゃなくピンク。下をミニのセミタイトのスカートにピンクのヨットパーカー風というコーディネートだよ。ゴルフ場にスカートっていうのは、今や新鮮だよね。ただ、トップスのピンクに黒を合わせたのは、ちょっと気になったな。ピンクというのは黒と合わせると、色は鮮やかに写るけど、コントラストは強くなって、ケバくなりやすい。ここは黒のミニスカートもいいけど、思い切って白のミニのプリーツスカートなんてよかったと思う。
撮影/藤岡雅樹
で、3枚目。彼女はピンクも好きだけど、このターコイズブルーも好むんだよね。この日もターコイズブルーのパンツに白の七分丈のタートルネック。僕が思うに、彼女はピンクよりこっちのブルーのほうが似合う。もっというと、さらに派手な黄色なんかも似合うんじゃないかな。彼女のように小さくて、一見地味な印象を持たれてしまう女の子は、見習うといいと思うよ。ヴィヴィットな色が、その存在感を増してくれるんだよね。
というわけで、プロスポーツ選手というと、ひとつのことに打ち込む職人になりがちだけど、彼女のようにいろんな視野をもった新しいスポーツ選手っていうのが、これからますます求められてくるんじゃないかな。とにかく桃子ちゃん、来年もまたおじさんたちに勇気を与えてくださいね。
※次回は2008年1月9日に掲載します。
|