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【212】ドン小西式経済予測。08年の国産アパレル業界を占う![2008/01/16]

今週は、年末年始の僕の写真アルバムを一挙放出。まず、どうしてもみんなに見せたかった写真がコレ。僕は1日に4回くらいタクシーに乗るんだけど、今までで一番びっくりした落とし物を発見した。なんとハイヒール。持ち主はどうやって帰ったのかね。

 例年1月っていうのは、地方に飛び回ったりしてバタバタしている。でも今年は比較的ゆったりした2008年のスタートだった。ほんと、こんなゆったりした仕事始めって珍しいんだよ。その分、毎朝新聞にじっくり目を通したりしながら、08年にのぞんでるんだ。先週も言ったように、今年は「いい人」キャラがテーマだからね。それにはふさわしいスタートだったと思うよ。

 僕は典型的なB型だから、何かに取り組み始めると、とにかくまっしぐら。目の前にあることしか考えられないタチなもんでさ。世の中のニュースや自分の身の回りのことなんかを見渡しながら日々を送るっていうのは、大人になった気分っていうのかな。この年になって初めて社会人になった気がするよ。

 そんなわけで今週は、年初のニュースを見て考えさせられたことを、つらつら書いてみようと思う。しかし新聞を見てみると、日本経済の不透明さが、年をまたいで続いてるよね。何よりサブプライムローン問題を引きずって、いまだにアメリカの経済が読みにくいし。おまけに原料コストは軒並み上昇。今年は日本人の前にどんな時代が待ってるんだろうって、どことなくみんな不安を抱えてるんじゃないかね

 日本人は「増」という言葉には馴染みが深いよね。たとえば「家を増築したんですよ」と人に言われれば、誰だってその意味がわかる。ところが「減築しました」って言われたら、どうよ。何のことかわかんないだろ? 

 実はこの「減築」。ヨーロッパなんかでは、最近のはやりなんだよね。たとえば肥大化しちゃった大きなビルをスポーンと3階建てに削っちゃったり、ビルを半分に切って、残りを公園にしたり。プラスはいいことだけど、マイナスはダメなこと。そう教えられて育ってきた日本人には、ちょっとできない発想だよね。

新年早々、ステップというPR会社のオーナーをしている杉山絵美さんが、僕らのために新年会を開いてくれた。大原かおりさん、クリス・ペプラー、知念里奈ちゃん。で、真ん中にいるのが、杉山さん。

74歳を迎えた僕の友人の藤村俊二さん。その誕生パーティに招かれた。ロウソクが多すぎて、吹き消したとたん、煙だらけ!

 一方、日本も、増やすこと一辺倒だった路線が、いよいよ立ちゆかなくなってきた。これもニュースで見たんだけど、ビール会社の売り上げがこぞって落ちているらしい。今までの日本なら、何か策を打って、売り上げを巻き返すことを考えたと思うんだ。ところがビール会社は、減産してもやっていけるような、マイナス経営の計画を立てることにしたんだって

 経営計画っていえば、日本人は「成長」しか経験したことない。マイナス計画なんて、ほんとに不得意だと思うよ。そうやって、未来は、日本人が今まで経験したことない世界に突入しようとしてるんだよね。

 自慢じゃないけど、僕の場合はバブル崩壊以降、商売はマイナスマイナスの状況に追いやられてるからね。会社の成長がマイナスになると何が起きるのか、またその分を何で転換するべきか。そういうことを経験したからこそ今の僕があるんだ。ま、今、世の中がやろうとしてることを、10年前に先取りしちゃったっていうかさ。

 そうそう。僕の商売といえば、ファッション界だって、今年は大変なことが起きそうだよ。物流はよく川に例えられる。つまり川上は生産側、川下は販売側だよね。で、その川上の生産者が、原油価格高騰のためにどんどんインフレになってきている。それに対して、川下の販売側は、モノが売れなくなってきたために、どんどんデフレにせざるをえなくなっている。

 実際、昨年の暮れのコート商戦も大失敗で、商品が山のように余ったっていうことが早くも業界の語りぐさになってるしさ。でもこれも自業自得っていうのかな。ここ数年のファッション業界は、コストを下げることに専念してきた。で、中国などに生産を委託するのが当たり前になっている。

 ところが生産地として当てにしていたその中国が、今や世界最大の消費国になろうとしてるからね。日本もこれまで、中国から材料を買って、中国で作らせて、おもにその製品を日本で売っていた。ところが日本の消費が伸び悩んでるもんだから、今度はその製品を中国で売ることにシフトしようとしている。

 でもそんな都合のいい商売はないわけで。力をつけた中国は、どんどん人件費が上がって、以前のようなコストの安さが売り物の「世界の工場」じゃなくなっちゃったんだよね。しかも日本は何でもかんでも中国に丸投げしてきたものだから、物作りのソフト面まで中国に伝授しちゃった。実際、最近やたらと中国のアパレル工場の企画力や提案力がアップしてるんだよ。もはやデザイン力も日本人以上。ヘタしたらデザイン料まで、製品に上乗せされる場合もあったりする。

 そういえば今中国は、アメリカを抜いて、オゾン層を破壊する温室効果ガスの排出量が世界一になったよね。それでも一人当たりの排出量は、まだアメリカの1/3程度なんだって。ということは、この先、まだまだ排出量が増えるはず。

 そんなに遠くない将来、中国は温室効果ガスの排出がすごいことになって、環境対策を徹底しろって、世界中から監視されるような立場になるだろうな。そうなると、工場なんかでも環境対策の設備投資をしなくちゃならない。んで、またコストが増えるわけだよ。

ストライプの壁にかかっているのは、我らがFAnetの編集長がリフォーム完成祝いにプレゼントしてくれたモダンクラシックな時計。

 悪いことは重なるもんでさ。温暖化や干ばつによって、ウールが大幅な減産を起こして値上がり。さらに今年はヴィヴィットな色と、ナチュラル&エスニックなものがはやると言われてる。で、色が流行になると、染色がものすごく増える。染色は、ボイラーを使ったりして、石油を一番使うところなんだよね。原油高のあおりをモロ受けることになる。

 さらにナチュラル&エスニックがはやってくると、刺繍とか装飾とかで手のかかるインドや中国の技術が必要になってくるだろ。さっきも言ったように中国をはじめとした途上国の加工費がものすごく値上がりしてるわけだからさ、これもマイナス要因になるだろうな。

 もうひとつ、去年からオーストリッチなどの高級レザーバッグが注目されてきた。で、今年はその反動で、ナイロンバッグがすごくはやると言われてるんだ。有名ブランドのバッグの展示会なんかを見ても、ほとんどがナイロンをつかった商品を出してる。これも石油製品で、原料費が半端じゃなく高くなってるんだよ。

 まあとにかく、こうやってどこもかしこも値上がり値上がりで、コストの話で良いニュースがひとつもないっていうのが、今の状況。こうなってみると、勝ち組、負け組の格差がはっきりしてくるよね。海外ブランドでコツコツとイメージで作り上げてきたところは、去年の終わりくらいから、価格をドーンと上げてきた。

 一方、日本の場合は、安直に低価格で市場に迎合してきたわけだから、小売価格を上げられない状況にある。ほんとまずいと思う。アパレル業界は、目の前にある嵐に半分足を突っ込みながら、何にもできないでもがいてる状況なんだよ。今年はアパレル業界で、かつてないほど多くの会社が行き詰まるんじゃないかと囁かれてるよ。

 そんななか、いくつか景気のいいニュースもあった。ショッピングセンターが、全国にどんどん増えてるんだよね。ただしこれは、こんなからくりがある。ショッピングセンターは、今やファンドを活用して開発されることが多いんだけどさ、既存店の売り上げだけでは投資家たちは満足しない。どんどん店舗数を増やして、売り上げを伸ばすしかないんだよ。今全国にショッピングセンターは3000店舗くらいあるらしいけど、大丈夫なんでしょうか。

 もうひとつ、景気がいい話としては、紳士服業界の専門店が業績を伸ばしてるっていうニュース。青山、アオキ、はるやま、コナカみたいなところだよね。この業界だけは、いまだに増収、増益計画を唱えてる。

 とはいえ、世の中の流れは間違いなく「増」から「減」。そして「量」から「質」へ。そんな経験したことのない時代を、乗り切ることができるのかね。ま、これがまさに新しい時代。受け入れるしかありませんって。

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