ファーコンテストと同時に発表された「2008 FUR OF THE YEAR」を受賞した女優の田丸麻紀さん。彼女が着ている毛皮はリンクスキャット。フェミニンなワンピースとワイルドな表情の毛皮のコーディネートがいい! ワンピースもコートもチュニック丈が新鮮だ。
世の中、地球温暖化、食糧不足、自然保護など、いろんな問題が出てるわけだが、今回、僕のところに(社)日本毛皮協会(JFA)が主催する「JFA FUR DESIGN CONTEST 2008」の審査委員長の依頼がきた。そして喜んで引き受けたわけなんだが、ここ数年は中国産の安価なものが出回ってギャル達にももてはやされ、毛皮ブームが続いてるよね。今度の秋冬コレクションでも、フォークロアとかボヘミアンな傾向に合わせていろんな毛皮が紹介されていて、今年も毛皮が大流行! となりそうだ。
しかし僕は、毛皮というと、あまりいい印象がないんだよ。8年前にニューヨークでコレクションを発表した時、ショー本番の10分前に楽屋へダダダーってプラカード持った動物保護団体の人達が入ってきて、モデルに「毛皮を着るな」「着たら後の仕事ははく奪するぞ」って脅した。気の弱いモデルは毛皮を着ないでステージに出たから、あの時はビックリしちゃったよ!
で、僕のトラウマの話はこれくらいにして。皆さん、知ってるかな? 地球温暖化を防止するためにCO2を削減しようという運動が世界レベルで繰り広げられ、日本でも環境省が“クールビズ”“ウォームビズ”を提唱。僕も小池百合子・元環境大臣と仕事をさせてもらったけど、夏に冷房温度を6℃上げるより、実は冬に暖房温度を6℃下げる方がずっとCO2を削減する割合が高いんだって!
そういうこともあって、JFAはウォームビズのために毛皮を普及して地球温暖化防止に役立てようと乗り出し、「地球を守ろう〜FUR−(マイナス)6℃」というテーマのもと、今回9回目となるコンテストを開催したんだ。今年の応募総数は2791点。その中から第一審査で30点が選び出され、ファッションショー形式の最終審査会でグランプリが決定した。
(写真左)コンテストのグランプリに輝いたバンタンデザイン研究所の大貫洋平さんの作品。レザーをベースにし、パステルミンク、ブラウンミンク、見方によっては焦がしたように見えるダークミンクの3色のミンクを使った色使いが評判をとりグランプリ獲得につながった。
(写真中)優秀賞は武蔵野美術大学の大城志帆さんの作品。第一次審査で見たデザイン画の時から、今までにない毛皮の発想が気にはなっていた。そこを審査委員長の僕は強く推したんだが、もう少し細かいところを詰めていてくれれば、と悔やまれる。
(写真右)これはHKFF賞(香港インターナショナルファー&ファッションフェア賞)を取った中部ファッション専門学校の岩本由季さんの作品。身頃はフォックスで襟と裾がチベットラムでできたショートコート。僕好みではないが、審査員のデザイナー・岩谷俊和クンはお気に入りだったようだ。
(左)入賞はしなかったが、個人的にはすごく関心があった作品。特に色使いが斬新! ちょっと硬すぎたんだなぁ。
(右)こちらも番外編。この写真のポーズで見る限り斬新なんだが、手を下したり歩いたりする動きを考慮したデザインでなかったのが残念。
まあ、「地球を守ろう!」というテーマとはいえ、堅苦しく考えるんじゃなくて、さすが若い人の発想だなぁという印象だった。奇想天外なもの、色彩豊かなものなどいろいろあった。作られた作品はトレンドを上手に取り入れたバルーン型、Aライン、ボリューム型、フード付きといった、とても学生とは思えない力作もあった。やっぱ、カッコよく着れなきゃファッションじゃないからねぇ。
皆さんもこの冬から、地球温暖化防止に貢献する毛皮ファッションを楽しんでみたらいかがですか? 今年は大量に作られる粗悪品ではなく、上品さ、上質さが問われる“本物の時代”と言われているんだ。まあ、必然的にデザイナーやメーカーの質が問われてきている。僕も、これからは地球レベルで考えられるデザイナーになろうと思っている。
FUR OF THE YEAR(ファー・オブ・ザ・イヤー)
(社)日本毛皮協会(JFA)が主催する「JFA FUR DESIGN CONTEST 2008」では同時に、ファーファッションの向上と毛皮の普及を目的として、過去1年間を通じて“最も輝いていた人“”最もファーが似合う人”に「FUR OF THE YEAR」が贈られた。
2004年の第1回は荒川静香さん、2006年の第2回は石川亜沙美さん、そして2008年の今年は、美しさに加え、屈託のない明るさが多くの人々を魅了して止まない女優の田丸麻紀さんが受賞した。
“ファーが似合う”ことが条件だけに、受賞者には毛皮のコートが贈呈されているが、田丸さんが手にしたコートはリンクスキャットという希少な素材だった。普通の毛皮は動物の背中部分がキレイで価値が高いのだが、このリンクスキャットは腹部の白地に暗褐色の斑点が特徴で美しく、高級品として重用されているものなんだ。
また今回から女性部門と男性部門に分かれ、俳優の成宮寛貴さんもW受賞した。
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