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| 板場に立つ吉岡シェフ。さわやかな好青年から、板前の顔に変わります。いつもハキハキと受け答えする人ですが、「緊張すると舌を噛みまくります」。気配りの上手な方なのです。 |
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| お米の一粒一粒が輝いている「蟹土鍋ご飯」。土鍋ご飯に使用するお米は、茨城産の有機栽培のコシヒカリを使用。粘りが少なめで、土鍋ご飯向きです。「美味しいから有機栽培を使っている」とのこと。土鍋を使用するのは、単に炊飯器がなかったことに加え、やはり「おいしいから」。炊飯器で炊けば楽ですが、「時間がたったご飯をお客さまに出さなくてはいけなくなりますからね」と吉岡さん。ご飯が最高においしい状態で提供したいので、土鍋でご飯を炊いているそうです。 |
| 店内は、なすびの暖簾があたたかい雰囲気を醸し出しています。お客は20代後半から30代後半の女性が多いとか。 |
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「蟹土鍋ご飯」。コースの締めとなる料理です。土鍋のふたを開けた瞬間に湯気が立ちのぼり、ご飯の甘い香りと蟹の芳醇な香りが食欲をそそります。「ご飯を一番美味しい状態でお客さまにお出ししたい」ので、前のお料理が多少残っていても、ご飯を出すそうです。土鍋ならではの、うれしいお焦げも楽しめます。
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洒落た飲食店が建ち並ぶ恵比寿の駅前から路地をしばらく進むと、その店はありました。
「なすび亭」。若き板前の吉岡英尋さんが、2000年に開いたお店です。「一目で和食とわかり、覚えやすい名前にしたかった」と吉岡さん。肩肘をはらずに食事ができ、かといってくだけすぎたところのない店を目指して名付けたそうです。
若いころは、よく競馬騎手の武豊騎手に似ていると言われたという吉岡さん。修業時代は先輩から「おまえの写真集がでているぞ」といわれたこともあったとか。
「でも現在はちょっと太っちゃってね」。いえいえ、確かに武豊よりは横幅が広くなったようですが、どんな質問にもハキハキと答えてくれるその姿は、さわやかな好青年そのものです。
いつも笑顔を絶やさない吉岡さんですが、修業時代はつらいことも多く、いつも「これでいいのか」と悩むことも多かったのだとか。
「周囲に気配りをしすぎて、ストレスがたまっちゃったんですよ」。でも、そこからが人と違うところ。
自分の店を持ちたいと思うのは、修行中の板前ならみな同じでしょうが、吉岡さんの場合、ストレスをため込んだことで、逆に独立への情熱が燃え上がり、29歳のとき、「なすび亭」をオープンしてしまったのです。
なぜ恵比寿の裏通りで? 「新宿・池袋や永田町のように慌ただしいようなところでなく、のんびりとした町で、お店を構えたいと思ったんですよ」。
ただし、開業当初、あたりは昔ながらの住宅街。今のように飲食店もなく、人通りもまばら。おかげで、お客が一日一組といったようなときもあり、経営は相当に苦しかったようです。
「でも、自分のお店を持てたことの喜びの方が大きくてねぇ。ここは自分を信じるしかないと思ってお店を続けているうちに、次第に周りに認知されて軌道にのってきました」。
ほんわかとした雰囲気を醸し出し、周囲を明るくしてくれるパーソナリティですが、芯は相当にしっかりした方なのでしょう。
料理は、和食のお店らしく、お魚中心のコース料理がメイン。その日に魚屋さんが配達してくれた旬の魚を調理するので、コースの食材は毎日変わります。これからのオススメは、ブリだそうです。
価格も5000円〜とリーズナブルですが、特筆すべきはコース料理の締めとして出される「旬の土鍋ご飯」。先付やお造り、煮物、焼物などの料理を味わったあと、この土鍋ご飯が出てくるのですが、これが絶品! それまでにいただいた料理との相性も抜群で、コースの最後を彩るにふさわしい味なのです。このご飯を食べれば、誰もが「日本人に生まれてよかった」と思うことでしょう。
「さっぱりとしていながら、しっかりとお食事のできる店をモットーにしています。お気軽にお越しください」(吉岡さん)
「和食が食べたくなったら、なすび亭へ」。おいしいものが大好きなみなさま、頭の隅にこの言葉を刻んでおくと、きっといいことがありますよ。
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